ED治療薬の使用経験は糖尿病例において全死亡率を低下させる

2型糖尿病と診断された男性を平均7年追跡調査
イギリス中部および東部チェシャーの42の一般診療電子カルテから、2007年以前に2型糖尿病と診断された40〜89歳の男性5,956人を抽出、2007年〜2015年の期間、おおよそ平均にsて7年間にわたりフォローし、ED治療薬と全死亡率の関係を評価しています。
ED治療薬使用例は、1,359人となっています。
ED治療薬は、カルテをベースにした処方履歴を対象としているため、その使用頻度に関しては不明となっています。基本的には、ED治療薬は、定期的に服用するものではなく、必要時に頓服していたと推測されます。
ED治療薬薬使用者は、非使用者と比べて全死亡のハザードが約46%低下
全死亡とは、原因は問わず、全ての死亡になります。
例えばですが、死因が、急性心筋梗塞であっても、肺炎やガンであっても、その全てがカウントされています。
死亡リスクの低下(HR=0.54(0.36~0.80);p=0.002)は、年齢、推定糸球体濾過率、喫煙状態、脳血管事故(CVA)の既往、高血圧、心筋梗塞(MI)の既往、収縮期血圧、スタチン、メトホルミン、アスピリン、β遮断薬の使用の有無を調整した後も引き続き維持されたとしています。
ハザードが46%低下だと、一般の方は理解が難しいかもしれません。
実際の死亡率は、ED治療薬使用者:19.1% vs 非使用者:23.8%となります。ここでは、死亡率の増加傾向は無いと捉えていただければよいかと思います。
ちなみに、ED治療薬以外では、スタチンstatinと呼ばれる脂質異常症治療薬が、ハザードレシオ0.58と死亡率を低下させる結果が得られています。
逆に、年齢、喫煙、高血圧が、ハザードレシオを上昇させています(死亡率を上昇させる)。
ED治療薬使用例は、心筋梗塞とそれによる死亡リスクも減少
みなさんが知りたいのは、おそらくは、心筋梗塞などの心血管疾患の増加の有無だと思います。
この研究報告では、そのあたりも、サブグループ解析されています。
新たに発症した心筋梗塞の発症でみると、発症率比(incidence rate ratio) = 0.62、つまり、ED治療薬使用者は非使用者と比べて、急性心筋梗塞の発症の頻度が約38%低かったという結果です。
さらに、心筋梗塞を発症した場合であっても、死亡リスクが約40%低かったとされ、ED治療薬の使用との関連が観察されています(HR=0.60 (0.54 to 0.69); p=0.001)。
ED治療薬と全死亡の因果関係を調査しているわけではない
この研究は、観察研究であり、2型糖尿病患者におけるED治療薬使用と死亡率の、直接的な因果関係はわかっておりません。
これは、カルテベースによる病名と処方による調査の限界でもあります。
例えばですが、EDという診断がカルテに記載されないと、データとして拾うことが出来ません。EDであっても、診断されていない、治療を受けていないケースなどです。
とは言え、傾向を知るには十分です。
ED治療薬の使用例の方が、死亡率が低いことは確かです。
ED治療薬によって死亡率が上昇することは無いことがわかっていただけたかと思います。
ED治療薬で死亡率改善のメカニズムは?
因果関係は不明です。
ED治療薬は頓服で使用することが多いため、使用頻度を考えた場合、直接的に死亡率を改善したと考えるのは早計かもしれません。
性的に活発ということは、健康状態が良いとも考えられます。
ED治療薬を使用することは、性的活発さを取り戻すともされているため、やはり、ED治療薬が全死亡率の低下させるとも考えられます。
実際のところ、因果関係は不明です。
続報を期待しましょう。
Phosphodiesterase type-5 inhibitor use in type 2 diabetes is associated with a reduction in all-cause mortality
Heart. 2016 Nov 1;102(21):1750-1756.
【ED】に関する最近の記事
-
糖尿病患者におけるED治療薬と全死亡率低下の関係
糖尿病患者におけるED治療薬の使用が全死亡率を低下させる可能性があることをご存知ですか?2型糖尿病の男性を対象…
-
全身性炎症反応指数で見るタダラフィルの効果予測
全身性炎症反応指数(SIRI)が、ED治療薬タダラフィルの効果を予測する可能性についての研究があります。SIR…
-
アレルギー性鼻炎の鼻症状は性機能障害に繋がる可能性
今や国民病とさえもされるアレルギー性鼻炎。花粉症と言ったほうが馴染みが有るかもしれません。このアレルギー性鼻炎…









