タバコ本数と喫煙年数とEDの関係|池袋スカイクリニック

タバコ本数と喫煙年数とEDの関係

池袋スカイクリニック

タバコ本数と喫煙年数とEDの関係

2026年5月29日

Table of Contents

勃起機能に対するタバコが及ぼす影響

日本人男性の4人に1人に喫煙習慣があるとされます。タバコは、古くから健康に害を及ぼすものとして認識されています。慢性肺気腫などの呼吸器疾患や心筋梗塞などの心血管疾患の危険因子として、挙げられております。

将来的に、体に悪いと理解しつつも、今現在の症状がない場合は、なかなか禁煙に至らない方も多くいらっしゃいます。 もし、タバコがEDの原因としたらいかがでしょうか?

ここでは、タバコがEDへ及ぼす影響を調査した研究報告をご紹介します。

ボストン市在住の市民を対象とした疫学調査

ボストン地域コミュニティ健康調査からの解析になります。

ボストン地域コミュニティ健康調査は、2002年から2005年にかけて実施された、泌尿器系の症状とリスク要因の関連についての、広範囲にわたる地域ベースの疫学調査です。30~79歳の白人、ヒスパニック、アフリカ系アメリカ人の成人5506人を対象としており、男性2301人(白人835 人、黒人[アフリカ系アメリカ人]700人、ヒスパニック766人) が含まれています。平均年齢は47.6歳。参加者の約 45%が非喫煙者、28.7%が元喫煙者、26.2%が現在喫煙者に分類されています。

喫煙量を定量化|パック・イヤー

喫煙がEDに及ぼす影響に関する調査報告は、いままでにもございました。本研究報告では、喫煙量の定量化が試みられております。 20本を1パックとし、一日あたりのタバコ本数をパック数で数え、喫煙年数をかけたものをパック・イヤーとし、定量化しています。
『 一日あたりの喫煙パック数x喫煙年数 』

パック・イヤーの解析は、

  • 10未満
  • 10〜19
  • 20以上

と3段階で評価されています。

EDは、国際勃起機能評価スケールIIEF-5スコアで評価しています。

タバコの影響が無い群を対照とし、解析されています。

受動喫煙のEDへの影響も評価

受動喫煙は、定量化されていないものの、評価項目となっています。 受動喫煙群は、

  • 家で誰かが喫煙している

または、

  • 職場で他人の煙に曝露されている人

として定義され、自己申告で評価しています。

喫煙量パック・イヤーの増加とともにEDが増加

本研究報告では、喫煙量パック・イヤーとEDのオッズレシオは、喫煙量パック・イヤーが10未満の群で1.10、10〜19の群で1.25、20以上の群で1.68となり、パック・イヤーが20以上の群で、もっとも、EDが増加しています。つまり、パック・イヤーが20以上の群では、EDのリスクが68%増加するということになります。

また、喫煙量パック・イヤーの増加は、国際勃起機能スコアIIEF-5スコアの低下と関連していることが示されています。つまり、喫煙量パックイヤーは、EDの発症だけではなく、重症度と相関があることを示しています。

受動喫煙もEDに影響する

この研究報告では、受動喫煙も、勃起機能に悪影響を及ぼすとしています。 その程度は、パック・イヤーで10〜19と同程度としています。 受動喫煙は、自己申告に因る評価で、定量化はできていません。

補足として、別の研究報告には成りますが、9年間の受動喫煙が、EDの新規発症リスクを2倍に高めるとする報告もあります(Massachusetts Male Aging Study)。

喫煙者と禁煙者の区別がされていない

禁煙によってEDが改善傾向を示すとする報告がありますが、この研究報告では、喫煙者と禁煙者(元喫煙者)は、区別されていません。 ここで評価されている、パック・イヤーは、タバコの累積された影響を表しています。

禁煙年数が検討されていた場合、さらなる、知見が得られていたかもしれません。

進行例ほど禁煙の効果が弱い

本研究報告では、禁煙に因るED改善効果は検討されておりませんが、一般的には、禁煙によるED改善効果は、EDの進行程度によって変わります。 タバコは、動脈硬化の原因の一つですが、動脈硬化は、数年で完成されるわけではなく、より長期的に、緩徐に進行します。 つまり、動脈硬化が進行していない、若年者の方が、禁煙の効果が高いとされています。 しかし、中高年以降に禁煙することが、無効であるわけではありません。

本記事を読んでいただき、タバコを吸うことがEDの原因の一つであると考え、禁煙する切っ掛けになっていただけると幸いです。

タバコの累積指標|パック・イヤー計算

1日の喫煙本数と喫煙年数から、累積喫煙量(パック・イヤー)を計算します。

※パック・イヤーは「1日20本を1年間吸った量」を1として計算します。
※この結果は目安です。体調や症状が気になる場合は医療機関にご相談ください。

Association between Smoking, Passive Smoking, and Erectile Dysfunction: Results from the Boston Area Community Health (BACH) Survey

Published in final edited form as: Eur Urol. 2007 Mar 16;52(2):416–422.

doi: 10.1016/j.eururo.2007.03.015

【ED】に関する最近の記事

降圧薬により高血圧治療中であってもタダラフィルによるED治療は安全である
高血圧治療中患者におけるタダラフィルの安全性

高血圧治療中の患者において、ED治療薬タダラフィルは安全に服薬できることが論文として報告されています。日本人の食生活は塩分が多く、高血圧患者が多い中、タダラフィルは安全に使用できる可能性があります。また、心血管イベントのリスクも増加せず、降圧薬との併用もほとんど問題ないとされています。高血圧をしっかり治療した上で、ED治療を行うことが推奨されております。

Read More »
シルデナフィルなどのED治療薬は糖尿病患者の全死亡率を改善する
糖尿病患者におけるED治療薬と全死亡率低下の関係

糖尿病患者におけるED治療薬の使用が全死亡率を低下させる可能性があることをご存知ですか?2型糖尿病の男性を対象にした追跡調査では、ED治療薬使用者の死亡率が非使用者に比べてハザードリスクが約46%低下したとの結果が得られています。ED治療薬の使用歴は、心筋梗塞のリスクの減少、全体的な健康状態の改善との関連が示唆されています。

Read More »
前立腺肥大症におけるタダラフィルの使用は、2型糖尿病の新規発症を予防する
前立腺肥大症に対するタダラフィルは糖尿病の新規発症を抑制

タダラフィル5mgの常用が糖尿病発症を抑制する可能性があることが、前立腺肥大症患者を対象にした研究で明らかになりました。タダラフィルは、従来のα遮断薬と比較して、新規2型糖尿病の発症率を約53%減少させることが示されています。この研究は、日本の大規模な保険請求データベースを基にしており、タダラフィルの血管内皮機能改善作用が好影響を与えた可能性が指摘されていますが、現時点では、明らかになっておりません。

Read More »
セマグルチドはダイエット用に使用されることが多いですが、ニコチン依存症のリスクを回避させる可能性がある
タバコ使用障害のリスク低下の可能性|セマグルチド

セマグルチドは、糖尿病や肥満治療に用いられるGLP-1受容体作動薬ですが、最近の研究でタバコ使用障害のリスクを低下させる可能性が示されています。セマグルチド製剤であるリベルサスやオゼンピックを使用した患者では、喫煙欲求が減少したとの報告があります。さらに禁煙後の体重増加を抑制する可能性もあります。タバコ使用障害の診断基準など、詳しくは本文をご覧ください。

Read More »
全身性炎症反応指数を用い、前もってED治療薬タダラフィルの効果を予測しようとする研究報告
全身性炎症反応指数で見るタダラフィルの効果予測

全身性炎症反応指数(SIRI)が、ED治療薬タダラフィルの効果を予測する可能性についての研究があります。SIRIは血液中の免疫細胞のバランスから炎症状態を数値化した指標で、がんの予後や動脈硬化や心血管疾患との関連が示されています。この研究では、タダラフィルが無効だった患者の特徴を明らかにし、ED治療における新たなアプローチを提案しています。

Read More »
マンジャロなどの、いわゆるGLP-1ダイエットで使用される薬剤は、アルコール依存症を改善させる可能性が有る
アルコール依存性にマンジャロやオゼンピックが有効である可能性

アルコール依存症の治療に新たな可能性が見えてきました。最近の研究では、ダイエット薬として知られるGLP-1受容体作動薬、特にマンジャロやオゼンピックが、飲酒欲求の低下や飲酒量の減少に寄与する可能性が示唆されています。ここで紹介するSNSを利用した調査や153名への聞き取り調査から得られた研究報告は、これらの薬剤がアルコール依存症に対する新たなアプローチとなるかもしれないことを示しています。

Read More »