低用量タダラフィルは炎症マーカーを改善する|池袋スカイクリニック

低用量タダラフィルは炎症マーカーを改善する

池袋スカイクリニック

低用量タダラフィルは炎症マーカーを改善する

2026年7月5日

Table of Contents

タダラフィルはシルデナフィルに比較し炎症マーカーを改善する

古くより、若さを保ち、健康で長寿であることは、多くの人々の願いでありました。 現在、栄養状態の向上や医療の進歩により、人類史上、未曾有の長寿命を成し遂げています。

老化の早い方、遅い方を比較した場合、その差異が生じるメカニズムに関心が寄せられています。老化を科学することをジェロサイエンスと言いますが、世界的に研究が進められています。 身近なところでは、いわゆる、アンチエイジング医療が注目を集めるようになっています。 実際に、徐々にではありますが、老化の研究が進み、それを根拠とし、アンチエイジング医療の試みもあります。

ED治療薬の分野では、タダラフィルのアンチエイジング効果が注目されています。

ここでは、老化の原因の一つである『炎症』を、タダラフィルが抑制するという報告をご紹介します。

慢性炎症とは

一般の方には、炎症とは、組織の障害や破壊と考えていただけるとわかりやすいと思います。 具体的には、ケガをしたときに赤くなったり、腫れたり、熱をもったりするのが、分かりやすい炎症の例です。 ウイルス感染や細菌感染も、代表的な炎症です。

これに対し、体が自分を守ろうとするときに起こる防御反応も生じます。

これらをまとめて、炎症であったり、炎症反応と呼びます。

上記の例は急性炎症になりますが、慢性的な微細な組織の炎症が問題視されています。 具体例としては、動脈硬化をきたす生活習慣病や肥満、脂肪肝、喫煙、アルツハイマー病、うつ、各種癌などが、慢性炎症であったり、慢性炎症の結果生じる病態であるともされています。

慢性炎症が老化を促進させる

例えば、喫煙習慣です。

喫煙によリ生じる大量の酸化ストレスは、全身の炎症を引き起こします。習慣的な喫煙は、慢性炎症を引き起こすため、影響は多岐に及びます。

例えば、肺の炎症からCOPD・肺気腫、血管内皮の炎症から動脈硬化を促進させます。皮膚が黒ずんできたり、シミやシワが増加したりします。 これらは、老化とともに増加するものでもあります。

つまり、慢性的な炎症は老化を促進させます。

この炎症を抑えることが、アンチエイジング医療の一つのターゲットになります。

タダラフィルとシルデナフィルと炎症マーカーの検討

ED患者において、

  • タダラフィル(5 mg/日)
  • シルデナフィル(25 mg/日)
の2種類のED治療薬(PDE-5阻害薬)が、
  1. 勃起機能の改善
  2. 炎症マーカー(好中球/リンパ球比=NLR、血小板/リンパ球比=PLR)に与える影響
を比較した研究があります。

各血球から算出された比率は「炎症負荷や予後の指標」として注目されています。

EDと炎症マーカーに関する研究では、炎症マーカーにより将来のED発症を予見できるとする報告や、EDの重症度と相関するといった報告があります。

炎症マーカーを改善できれば、EDの予後を改善する可能性が有るのかもしれません。

タダラフィルは炎症マーカーを改善する

104名の被験者を、タダラフィル5mg/日、シルデナフィル25mg/日、プラセボ群に分け、2ヶ月後に、IIEF-5スコアによる勃起機能と、炎症マーカーの比較が行われています。

この報告では、当然と言えば当然ですが、タダラフィル群およびシルデナフィル群の両群において、勃起機能IIEF-5スコアの改善を認めています。両群で、勃起改善効果の差は、統計学的に有意差はありません。

炎症マーカーの変化は、両群で、違いが出現しています。 炎症マーカー(好中球/リンパ球比=NLR、血小板/リンパ球比=PLR)は、投薬前と比較し、タダラフィル群でのみ改善を認めています。 シルデナフィル群では、炎症マーカー(好中球/リンパ球比=NLR、血小板/リンパ球比=PLR)は、投薬前後で改善を認めていません。

タダラフィルはアンチエイジングに繋がる可能性が有る

この研究報告の結果は、タダラフィル5mg/日は、炎症を改善することを示しています。 先に述べたように、炎症の改善は、アンチエイジングに繋がります。

タダラフィルの服用は、アンチエイジングに繋がる可能性が有るとも言えます。

シルデナフィルに炎症マーカーの改善が認められなかったことから、全てのPDE5阻害薬に属するED治療薬に、アンチエイジング効果が有るわけでは無さそうです。

あくまで一つの研究報告として

この研究報告をもって、タダラフィルをアンチエイジングに使用することを推奨しているわけではありません。

本報告のような、100人、観察期間2ヶ月程度の研究で結論を出すのは早計です。 より大規模で長期に渡る研究が必要です。 小規模な研究の積み重ねがなければ、大規模な研究に繋げることは出来ません。

何をもってアンチエイジングとするかにもよりますが、漠然と、タダラフィルの服薬を行うことは推奨しません。 具体的な目的を持っての使用を推奨します。

Evaluation of the effect of daily tadalafil 5 mg versus daily sildenafil 25 mg on neutrophil-lymphocyte and platelet-lymphocyte ratios in patients with erectile dysfunction: A comparative randomized controlled study

Arch Ital Urol Androl. 2024 Oct 29;96(4):12756.

doi: 10.4081/aiua.2024.12756.

【アンチエイジング】に関する最近の記事

ED治療薬であるタダラフィルは、脳血流を改善し、軽度認知機能障害を改善する可能性が指摘されている
認知障害におけるED薬タダラフィルの可能性

低用量タダラフィル5mgが認知機能を改善する可能性を指摘する研究報告があります。ED治療薬として知られるタダラフィルは、そのユニークな作用機序から、勃起改善作用以外の治療効果にも注目されています。タダラフィルは、アンチエイジングのために利用されることもありますが、認知機能障害に対する効果は、その一つとも言えます。50〜75歳の男性を対象にした研究では、8週間の服用で認知機能や脳血流の改善が示されています。

Read More »
腹部肥満は内臓性肥満を表しており、ウエスト周囲径の増加はEDを増加させる
腹部肥満とEDと食生活

腹部肥満と勃起不全(ED)は、密接に関連していることが知られています。イタリア人は欧米諸国の中で、比較的、肥満率が低いとされています。そのイタリア人における肥満とEDの研究報告は、我々、日本人も参考にできるかもしれません。健康志向が高まるなか、地中海食と日本食が注目を集めています。肥満が引き起こす様々な疾患について理解を深め、日常の食生活を見直すきっかけにしてみませんか?

Read More »
ed治療薬であるシルデナフィルの普及とともに自殺率が低下しているとの報告
シルデナフィルの普及は自殺数の低下に繋がる

シルデナフィルの普及が自殺数の低下に繋がるという興味深い研究結果があります。性的親密さや性機能の改善がメンタルヘルスに与える影響について、特に50〜59歳の男性に焦点を当てた分析が行われました。スウェーデンのデータを基に、ED治療薬の使用増加が自殺率に与える好影響が明らかにされています。

Read More »
降圧薬により高血圧治療中であってもタダラフィルによるED治療は安全である
高血圧治療中患者におけるタダラフィルの安全性

高血圧治療中の患者において、ED治療薬タダラフィルは安全に服薬できることが論文として報告されています。日本人の食生活は塩分が多く、高血圧患者が多い中、タダラフィルは安全に使用できる可能性があります。また、心血管イベントのリスクも増加せず、降圧薬との併用もほとんど問題ないとされています。高血圧をしっかり治療した上で、ED治療を行うことが推奨されております。

Read More »
シルデナフィルなどのED治療薬は糖尿病患者の全死亡率を改善する
糖尿病患者におけるED治療薬と全死亡率低下の関係

糖尿病患者におけるED治療薬の使用が全死亡率を低下させる可能性があることをご存知ですか?2型糖尿病の男性を対象にした追跡調査では、ED治療薬使用者の死亡率が非使用者に比べてハザードリスクが約46%低下したとの結果が得られています。ED治療薬の使用歴は、心筋梗塞のリスクの減少、全体的な健康状態の改善との関連が示唆されています。

Read More »
前立腺肥大症におけるタダラフィルの使用は、2型糖尿病の新規発症を予防する
前立腺肥大症に対するタダラフィルは糖尿病の新規発症を抑制

タダラフィル5mgの常用が糖尿病発症を抑制する可能性があることが、前立腺肥大症患者を対象にした研究で明らかになりました。タダラフィルは、従来のα遮断薬と比較して、新規2型糖尿病の発症率を約53%減少させることが示されています。この研究は、日本の大規模な保険請求データベースを基にしており、タダラフィルの血管内皮機能改善作用が好影響を与えた可能性が指摘されていますが、現時点では、明らかになっておりません。

Read More »