タバコ使用障害のリスク低下の可能性|セマグルチド|池袋スカイクリニック

タバコ使用障害のリスク低下の可能性|セマグルチド

池袋スカイクリニック

タバコ使用障害のリスク低下の可能性|セマグルチド

2026年2月13日

Table of Contents

リベルサスやオゼンピックはニコチン依存性のリスクを低下させる

糖尿病および肥満・ダイエットに頻用されるGLP-1受容体作動薬は、それ以外にも、様々な効果が指摘されています。

例えば、ここで紹介するタバコ使用障害への影響もです。

リベルサスやオゼンピックは、同一の成分(セマグルチド)の薬剤ですが、これらを投与された患者において喫煙欲求が減少したという報告があります。

タバコ使用障害 (ニコチン依存症) に対するその潜在的な利点について関心が高まっています。

タバコ使用障害とニコチン依存症

ニコチン依存症(nicotine dependence)は、1994年のDSM-4で定義されており、診断には、「依存(dependence)」が必要でした。

この基準だと、依存には至っていないが、病的と考えられる軽症例を診断することができませんでした。

そこで、2013年版DSM-5において、このあたりの考え方が整理され、軽度~重度まで連続体(spectrum)として評価するためにタバコ使用障害(tobacco use disorder)という診断が使用されるようになっています。

一般の方には、ニコチン依存症の方が馴染み深いかもしれませんが、医学的には、タバコ使用障害が一般的になりつつあります。

基本的には同じ病態を指しており、重度のものがニコチン依存症とお考え頂いても結構です。

セマグルチドと他の抗糖尿病薬とのリスク比較

2型糖尿病患者における、セマグルチドの新規使用と、他の7種類の抗糖尿病薬 (インスリン、メトホルミン、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害剤、ナトリウム-グルコース共輸送体2阻害剤、スルホニル尿素剤、チアゾリジンジオン、およびその他の GLP-1受容体作動薬) を対照とし、タバコ使用障害(ニコチン依存症)についての医療受診リスクが検討されています。

アメリカ疾病予防管理センターCDCが管轄するNational Electronic Health Records Survey(電子カルテ記録)より、5,967名のセマグルタイド使用者を含む222,942名。

2017年12月1日から2023年3月31日まで、12ヶ月のフォロー期間中に、タバコ使用障害の診断のための医療行為、禁煙補助薬の処方、禁煙カウンセリングを行った否かを検証しています。

リベルサスやオゼンピックは有意にタバコ使用障害リスクを低減

この研究報告では、セマグルチドは、他の抗糖尿病薬と比較して、タバコ使用障害の診断に関する医療受診が有意に低いことが示されています。

インスリン療法との差がもっとも顕著で、ハザード比0.68(95% CI:0.63–0.74)となっています(リスクが32%減少する)。

これは、他のGLP-1受容体作動薬においても同様で、やや減少率は低いものの、統計学的に有意にリスクを低下させています(ハザード比0.88(95% CI:0.81–0.96))。

セマグルチドは、禁煙薬の処方およびカウンセリングの減少とも関連しています。

この結果は、肥満の有無に関係は無いとしています。

ほとんどのグループ比較において、このような差は処方開始から30日以内に生じたとしています。

禁煙後の体重増加を抑制する

実際に経験された方もいるかと思いますが、禁煙することで体重が増えることは疫学データで証明されています。

実際に、日本人検診対象のデータでは、禁煙1年後には8割の人が平均約2kg体重が増加し、その後3年目以降は増加が見られなくなる傾向があると報告されています 。

世界における研究でも同様の体重増加傾向が報告されています。

そのメカニズムについていは諸説ありますが、禁煙後の体重増加からダイエットを考える方もいらっしゃると思います。

本研究報告では、禁煙後の血糖コントロールの増悪についての記述はありませんが、臨床現場では、しばしば経験される事柄です。

タバコ使用障害・禁煙と食欲の抑制・ダイエットの両方を満たすのがGLP-1受容体作動薬であり、リベルサスやオゼンピックは、有用である可能性を想像します。

タバコ使用障害|ニコチン依存症セルフチェック

タバコ使用障害|ニコチン依存症セルフチェック(DSM-5準拠)

過去12か月間について、あてはまるものをチェックしてください。

Association of Semaglutide With Tobacco Use Disorder in Patients With Type 2 Diabetes : Target Trial Emulation Using Real-World Data

Ann Intern Med. 2024 Aug;177(8):1016-1027.

DOI: 10.7326/M23-2718

【GLP-1ダイエット】に関する最近の記事

セマグルチドはダイエット用に使用されることが多いですが、ニコチン依存症のリスクを回避させる可能性がある
タバコ使用障害のリスク低下の可能性|セマグルチド

セマグルチドは、糖尿病や肥満治療に用いられるGLP-1受容体作動薬ですが、最近の研究でタバコ使用障害のリスクを低下させる可能性が示されています。セマグルチド製剤であるリベルサスやオゼンピックを使用した患者では、喫煙欲求が減少したとの報告があります。さらに禁煙後の体重増加を抑制する可能性もあります。タバコ使用障害の診断基準など、詳しくは本文をご覧ください。

Read More »
全身性炎症反応指数を用い、前もってED治療薬タダラフィルの効果を予測しようとする研究報告
全身性炎症反応指数で見るタダラフィルの効果予測

全身性炎症反応指数(SIRI)が、ED治療薬タダラフィルの効果を予測する可能性についての研究があります。SIRIは血液中の免疫細胞のバランスから炎症状態を数値化した指標で、がんの予後や動脈硬化や心血管疾患との関連が示されています。この研究では、タダラフィルが無効だった患者の特徴を明らかにし、ED治療における新たなアプローチを提案しています。

Read More »
マンジャロなどの、いわゆるGLP-1ダイエットで使用される薬剤は、アルコール依存症を改善させる可能性が有る
アルコール依存性にマンジャロやオゼンピックが有効である可能性

アルコール依存症の治療に新たな可能性が見えてきました。最近の研究では、ダイエット薬として知られるGLP-1受容体作動薬、特にマンジャロやオゼンピックが、飲酒欲求の低下や飲酒量の減少に寄与する可能性が示唆されています。ここで紹介するSNSを利用した調査や153名への聞き取り調査から得られた研究報告は、これらの薬剤がアルコール依存症に対する新たなアプローチとなるかもしれないことを示しています。

Read More »
ED治療薬であるシルデナフィルの使用者はアルツハイマー病のリスクが低下する
シルデナフィル使用者はアルツハイマー病のリスクが低い

シルデナフィル使用者はアルツハイマー病のリスクが低いという興味深い研究結果が報告されています。ED治療薬として知られるシルデナフィルは、認知機能に対する効果が注目されており、特にその使用者は、アルツハイマー病のリスクを54%も低下していたとする報告があります。しかし、直接的な因果関係は明らかではなく、生活習慣や他の要因も影響を及ぼすことが考えられています。詳細な研究結果や今後の展望について、ぜひご覧ください。

Read More »
妊孕性(妊娠力)を高めるには、GLP-1ダイエットによる肥満の解消が重要です。
妊孕性はGLP-1ダイエットで向上しうる

GLP-1ダイエットが女性の妊孕性を向上させる可能性があることをご存知ですか?肥満は、妊娠に関するリスクを高める一因とされており、体重管理が不妊治療に重要な役割を果たします。最新の研究では、GLP-1受容体作動薬は、単に妊娠前のダイエットに有効なだけではなく、生殖機能に直接的なプラス効果をもたらすことが報告されています。妊娠を希望する女性にとって、無理のないダイエット治療の最有力候補となりえます。

Read More »
女性の性機能障害の薬物療法についての一般的な解説。本邦未認可の薬剤になります。
女性性機能障害の薬物療法

女性の性機能障害は、さまざまな要因によって引き起こされることがあります。特に、閉経後の女性においては、ホルモンの変化や心理的な要因が影響を及ぼすことが多いです。フリバンセリンやブレメラノチドなどの薬物療法が注目されていますが、効果や副作用についての理解が重要です。さらに、テストステロン補充療法も選択肢の一つとして考えられています。詳しい情報を知りたい方は、ぜひ続きをご覧ください。

Read More »