低用量タダラフィル5mgによって認知機能は改善する?

先進国の多くは高齢化を迎えており、認知症の予防や治療は、重大な課題となっています。
軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)とは、正常ではないが、認知症とも言えない、中間的な段階を指した状態であり、認知症への進行を遅延・抑制することが重要となります。
タダラフィル(シアリス)などのED治療薬は、PDE5阻害薬に分類され、そのユニークな作用機序から、様々な疾患に対する可能性が研究されております。その一つの可能性として、ED治療薬の認知機能に対する効果が論じられています。
ここでは、タダラフィルの軽度認知障害に対する効果、脳血流改善効果を検証した論文をご紹介します。
タダラフィル5mgを8週間連日服用
対象は、50〜75歳の男性で、ED(IIEF-5スコア ≦21)を認め、かつ、軽度認知障害MCI(モントリオール認知評価:MoCA ≦22)のある患者です。
本研究では30人の男性患者が治療群に割り当てられ、25人の患者が8週間の治療コースを修了しています。(5人の患者が、筋肉痛やめまいなどの有害事象により中止となっています。)
研究開始してから8週間後に、IIEF-5スコアと、モントリオール認知評価、脳血流SPECTにより、タダラフィル5mgの効果が評価されています。
タダラフィル5mgは軽度認知障害とEDを改善
モントリオール認知評価MoCAスコアは、18.9 → 21.8と、有意に上昇し、認知機能が改善が示されています。
当然ですが、IIEF-5スコアも7.5 → 12.9と上昇し、改善を認めています。
脳血流SPECTで見た脳血流の変化として、後中心回(postcentral gyrus)、前部頭頂葉/後帯状回(precuneus)、脳幹(brainstem)領域で相対的な血流量が増加を認めています。
逆に、海馬(hippocampus)では血流が減少したともされています。
タダラフィルが認知障害を改善するメカニズム
本研究報告では、認知機能を改善するメカニズムの一つとして、タダラフィルの血流改善作用を上げています。
タダラフィルを含むPDE5阻害剤に属するED治療薬は、その血管拡張作用によって勃起効果を発揮します。
タダラフィルおよびシルデナフィルは、その血管拡張作用により、肺高血圧症の治療薬として、臨床でも使用されています。
つまり、ここでは、タダラフィルの血管拡張作用から、脳血流の増加をきたし、それが認知機能の改善につながった可能性を指摘しています。
その他のメカニズムの可能性も指摘されています。
血流改善作用は、ED治療薬だけが有するものではありません。もし、認知機能改善作用がPDE5阻害剤(ED治療薬)に固有のものであると考えるのであれば、その他のメカニズムが存在するはずです。
あくまでパイロット研究
この研究報告を持って、軽度認知障害例に対して低用量タダラフィル5mgの連日服用療法が推奨されているわけではありません。
規模が30人と小規模であり、さらに、比較対象を設定していない研究報告です。
あくまでパイロット研究と言った立ち位置の報告であり、医療的に効果を明らかにするには、より大規模な研究が必要になります。
タダラフィルによるアンチエイジング|認知機能
The Effect of Daily Low Dose Tadalafil on Cerebral Perfusion and Cognition in Patients with Erectile Dysfunction and Mild Cognitive Impairment
Clin Psychopharmacol Neurosci. 2019 Aug 31;17(3):432–437.
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