バイアグラと心臓突然死,心筋梗塞



ブルー


腹上死

バイアグラ(一般名:シルデナフィル)は、市販直後、心臓突然死との因果関係が話題になりました。 それにより、バイアグラの印象は、悪いものとなってしまいました。

いわゆる腹上死は、もともと頻度の高いものではなく、 安静時の心臓突然死と比較し、僅かに頻度の高いものです。 性行為そのものが、運動であり、刺激であり、 肉体にも心臓にも、負担増加を強いります。 そのため心臓突然死の頻度を、僅かながら上昇させます。
いつもと異なったパートナーを相手にしたり、刺激的な場所での性行為や、 飲酒の有無などにより、精神の高揚が異なります。 肉体、心臓への負担が、さらに増加します。


心臓突然死の多くの原因は、急性冠症候群と考えられております。 具体的には、心筋梗塞です。 心筋梗塞は、心臓を養う血管(冠動脈と言います)が、 急速に閉塞し、心臓平滑筋が壊死する病気です。 心筋梗塞を発症すると、それが原因で、致死性不整脈(心室細動や心室頻拍)や急性心不全を生じ、 死に至る場合があります。

冠動脈の閉塞は、基礎疾患があることがほとんどです。
皆さん御存知の、高血圧や糖尿病、脂質異常症、 メタボリック症候群などの動脈硬化性疾患が、心筋梗塞の基礎疾患となります。 心筋梗塞の誘引の一つとして、性行為があります。
(注;これら動脈硬化性疾患の全ての方が、性行為中に心筋梗塞を発症するわけではございません)


バイアグラは、冠動脈の拡張作用を有します。
つまり、心筋梗塞や狭心症治療に用いられる、 ニトログリセリン系薬剤/硝酸剤と同様の作用を持っています。 (注;バイアグラを飲んでいれば、心筋梗塞を予防できる訳ではありません。) また、バイアグラの副作用として、動悸(脈拍数の増加)や、血圧低下などがあります。


性行為が、運動であり、刺激的であるということ、基礎疾患の有無、 パートナーや場所、 飲酒の有無、バイアグラの服用など、 これらの要素が複雑に絡み合って、心臓への負担が決まります。 バイアグラ服用の有無よりも、上述の様々な要素の方が、大きく心臓突然死に影響します。


現在のところ、バイアグラが心臓突然死の原因というよりも、肉体的に、 もともと高血圧や糖尿病などリスクを持っている方が、 性行為という運動・刺激により、心臓突然死を発症したと考えられております。


以上の内容は、バイアグラ以外のED治療薬、レビトラバルデナフィル)、 シアリスタダラフィル)にも共通致します。