多くの心血管系の薬剤、とりわけ、利尿薬やβ遮断薬は、EDを引き起こす可能性があります。
しかし、最近の研究報告やその解析からは、心血管系薬剤とEDお間に、関連は指摘されておりません。
15000人の対象患者が含まれる6件の研究の解析では、β遮断薬は、年率で1000人当たり5例のEDの増加が報告されています。
加えて、薬剤がEDに関連するという知識を有している場合、服薬していないということ自体が、心理的に影響を及ぼしていると思われます。特にβ遮断薬の場合です。
女性の性機能を対象にした数少ない研究報告では、サイアザイド系利尿薬と、抗アルドステロン薬が、膣の潤滑を減少させ、生理不順を引き起こす可能性がございますが、
降圧療法は、性機能に影響を及ぼさないだろうと、示されています。
症状を改善させたり、保命のための心血管系薬剤は、性機能を障害する可能性があっても、中断すべきではありません。
もし、心血管系の薬剤で治療を行っている患者が、性機能に関して不平を持つならば、性機能不全が、心血管疾患にはしばしば合併しうるものであり、服薬が関係しているという心理的な影響や、
不安や、うつなどの存在を、可能な限り評価する努力をすべきである。
心血管系疾患の患者の性機能や性活動を改善しうる、特定の心血管系疾患の薬剤の分類はなく、推奨できるデータはありません。
サイアザイド系利尿薬を使用し、明らかにEDが増悪した患者のおいては、サイアザイド系利尿薬ではなく、ループ利尿薬に変更することは可能かもしれません。
スピロノラクトンを使用してる一部の男性患者において、抗アンドロゲン(男性ホルモン)の副作用が見受けられます。(たとえばED、性欲減退、女性化乳房など)
この場合、より副作用の少ないエプレレノンが代用になりえます。
β遮断薬により明らかに性機能が低下した患者では、ネビボロール(nebivolol:日本未発売)は、血管拡張作用を示すNO基を有しており、他のβ遮断薬に比較して、EDの影響が少ないといわれております。
このネビボロールは、心臓の収縮不全や心筋梗塞後の患者に、生命予後改善する目的でβ遮断薬が投与されていない場合に、考慮されます。
PDE5阻害剤(バイアグラ、レビトラ、シアリス)を使用することは、代替え療法として、有効です。
PDE阻害剤は、次項で取り上げます。
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